[天狗の駅は休止中‐六甲有馬ロープウェー・天狗岩駅探訪‐]
前回記事の副産物(?)です。六甲山牧場に向かう途中のお話。
とある目的で六甲ガーデンテラスを訪れておりました。
基本的にリアルが充実している人たちが訪れるようなおしゃれスポットなのですが
なんですこのおどろおどろしい物体。
どうやらロープウェーの支柱なのですが、現状使われている形跡がありません。
結果、この場所にはおおよそ似つかわしくない物体が威圧感を放っています。
そしてここに居るのは我々です。そうです我々です。
リア充スポット何のその。この不思議物体が気になって仕方ありません。
とことで、この支柱から伸びたケーブルの先にある六甲有馬ロープウェー、六甲山頂駅までやってきました。
山頂駅に設置してある観光案内図。
当然ロープウェーの案内も載っていますが……
……なんか怪しい描かれ方をした区間がありますねえ。
調べてみるとこの区間は現在休止中との事。先ほどの支柱もこの区間内にあります。
当然使われていないという事になりますね。
不思議物体の正体はこれで分かりました。
しかしここまで来ると最早当然の流れなのですが、今度はこの休止区間自体が気になって仕方がない。
幸い時間にも余裕があったので、休止区間の様子を見に行く事にしました。
その休止区間方面へ向かう前に、まずは山頂駅ホームの見学へ。
この山頂駅は、現在運行中の区間と休止中の区間でホームが分かれています。
休止以前の状態でこの区間を乗り通そうとした場合、ここで一旦乗換を余儀なくされる訳ですね。
現在運行中のホームについては当然改札があるので入れないのですが
休止中のホームについては、ご覧の様に出入りが自由にできる状態となっています。
駅名標は休止当時のままでして、現在の駅名と表記が違います。
別角度より。完全に一面をつぶして、イベントスペースの様な使われ方をしているようです。
イベント展示の兼ね合いで、この時はゴンドラ内も出入り可能でした。
意外にも1999年製で割と新しいゴンドラです。
さてここからいよいよ休止区間の途中駅、天狗岩駅へ向かおうという事になった訳ですが、歩いて行くのは少し遠い。
グーグル先生に聞けば途中結構近くまで車で行けるという事だったので、とりあえず車で行くことに
日和った。
いやどうにも路面状況が怪しそうだったので……一番最寄りの駐車場に止めて、しばらく歩くことにしました。
さすがに休止駅への案内は無かったので、まずは駅の近くにあって駅名の由来にもなっている天狗岩を目指します。
そうだね日和って正解だったね。
極狭な道に激しい段差。車で突っ込んでいたらちょっとどうにもならなかったでしょうね。
おのれグーグル先生。
おのれ!!
初夏から相次いだ大雨&台風のせいか、道中の状態はあまり良くありませんでした。
正直申し上げると駅へ向かう際には自己責任で、と言うレベルです。
案内板にあった天狗岩については、駅へ向かう道中ではなくて途中の分かれ道を南へ入った先にあります。
歩いていると見えてくる支柱がちょうど良い目印かも。天狗岩へ向かうにはこの支柱の真下を通る形になりますね。
天狗岩、標高は769m。結構高いですね。
天気が良ければ眺望もそこそこ良さそうです。
ここから目的地である天狗岩駅も見えます。
どうにも駅以外の構造物が一切見当たらないのが気がかりですね……
天狗岩付近に設置されていた案内図。
ここには天狗岩駅の表記もしっかりされています。
ところで六甲山頂駅の表記がまた違うものになっていますね。ずいぶんと駅名の変遷が激しい。
天狗岩から元のルートに戻り、さらに歩いて駅があるはずの方向へ向かいます。
もはやただの山道で、本当に駅があるのか怪しい雰囲気ですが……
お?
唐突に建物が現れました。
駅舎は入れない様になっており何も分かりませんが、駅名標が残っています。ゴンドラも置かれていますね。
どうやらここが目的の天狗岩駅のようです。
ゴンドラ前面にはまさかの回送表記。またワイの回送幕コレクションが潤うで……
状況的には休止前最後の運行を終えた後、ここまで回送されたといったところでしょうか。
そのゴンドラですが、駅舎を挟んで左右に一台ずつあります。
中間駅の割には上りと下りのゴンドラが随分と離れた位置にありますが、それもそのはず。
この駅も先ほどの六甲山頂駅同様、方面別で完全にホームが分かれています。
つまるところ駅に着くたび乗り換える事になる訳で……少し大変そうです。
ここを基準にして大きく進行方向が変わることから、上の様な形態をとっていたようです。
天狗岩駅は乗降の為と言うより、乗換をする為の中継地点としての役割が大きかったのですね。
それにしたって何もない。
駅前大通りもご覧の通り。坪尻駅等にも引けを取らない雰囲気です。
もし今も現役で営業中なら、間違いなく秘境駅の仲間入りでしょうね。
(もっとも休止中と言う扱いなので、今も現役の駅と言う見方が出来なくもない様な気もしますが)
ちなみにこの駅舎の屋上から見える景色が結構良かったらしく、駅自体が観光地の一つになっていたそうです。
またこのロープウェー、阪神淡路大震災の際には大きな被害を受けています。
但しこの時は補助金などの支援を受けて、9か月後の運行再開にこぎつけました。
しかしながら震災後は利用客の減少が進み、また保守費用もかさむことから平成16年12月に休止となっています。
震災からの復旧、そしてゴンドラの新調から10年足らずで休止と言うのは甲斐無いというか……少し残念な話ですね。
休止後の代替交通機関については六甲山上バスが担っています。
日中は1時間に3本、六甲山頂駅から天狗岩駅の次駅、表六甲駅(六甲ケーブル・六甲山上駅)を乗換なしで結びます。
保守の面や乗換なしと言う利便性を考えると、この区間はバスの方が優位かもしれません。
こちらがそのバス。
左が先ほど紹介した六甲山上バスで、右は六甲山上駅から摩耶山方面へ向かう六甲摩耶スカイシャトルバスです。
なんてことを言いながら、バス撮りついでに六甲山上駅にやって来ました。
いや本当はまた別の理由があった。多分。知らんけど。
この写真だけでピンときたら凄いんじゃないかな?
さておき、先ほど書いた通りで天狗岩駅の次駅、表六甲駅もこの場所にありました。
駅舎内改札、正面は六甲ケーブルに乗る為の改札ですが
こちら衝立の奥にある出入口が、ロープウェーの表六甲駅へ向かう通路に繋がっています。
現在は残念ながら関係者以外立入禁止。
ならばと思い外からの撮影を試みましたが、結果はご覧の通り。
一応他の駅と同様にゴンドラが止まっているのは確認できます。
それにしても随分年季の入った駅舎だなあと思ったら、きっちり近代化産業遺産に選ばれていました。
各所の装飾にも目を見張るものがあります。所々で傷んでいる個所もありますが、末永く使われる事を願いますね。
あ、ちなみに何かへばりついてる鳥の様なものは……まあそういうイベントをやっていたという事で一つ。
六甲山上駅のゴンドラに入れたのも同イベントのおかげらしいので。
とことで、六甲有馬ロープウェイの休止区間と、途中の天狗岩駅の探訪でした。
施設取り壊しの目途が立たない為の休止であって実質廃止なのですが、
10年以上たった今もゴンドラ含めてほぼすべての施設が現存しております。
天狗岩駅についても若干自然に還りつつありますけど、なにか有効な使い方とか出来ませんかね?
折角ゴンドラとかもありますし、例えば六甲縦走途中の休憩所に転用するとか。
もっともこの区間はまだ縦走できていないので天狗岩付近を通るルートがメジャーなのかどうかは知らないのですが。
はやく縦走の続き行かないとな……
※なお本文中にも書きましたが、今夏の大雨等で登山道の状況が悪い場所があります。
また道路も一部通行止が続いており、バスの運行内容が変更されている区間もありますので合わせてご留意ください。
[参考リンク]
□六甲山ポータルサイト Rokkosan.com
□六甲有馬ロープウェー – Wikipedia