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【駅舎探訪】道後山駅:鉄道よりも速い?備後落合→道後山徒歩移動

前回からのお話。

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『奥出雲おろち号』で備後落合駅までたどり着いた私。
大多数の乗客がそのまま折り返しの列車に乗って帰るのを見送って

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100分待ちの民に。

暇を持て余してしまうので周囲の探索でもしようかと調べた所

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これ、隣の道後山駅まで普通に徒歩で行けるんじゃないですか?

 

 

とことで物は試し。道後山駅まで歩いて行ってみる事にしました。

 

 

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出発前に備後落合駅の駅舎を、ボランティア駅長さんの説明付きで観察です。

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昭和10年築、開業当時からの駅舎が現在も使われています。

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大きめの駅舎ですが、現在は無人駅。
待合室の他には、一部が乗務員宿泊施設として利用されている状態です。

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小ネタ(談:ボランティア駅長さん)
かつて煙突が出ていたこの穴は、同時期に出来た国鉄駅舎の標準装備。
ですから北海道で同年代に出来た駅舎でも同じ構造が見られます。

現在煙突を使う事はありませんが、建築当初からの遺構として改修工事をした際もあえて残しました。

 

 

この小ネタ話の流れで、現役時代にこの駅が栄えていた時のお話などを聞かせてもらいました。

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今も転車台と給炭場の跡が残っていますが、最盛期は他に官舎もあり、100人程の職員が常駐していたそうです。

他にも機関車の整備のために吹田まで出向く時のお話などを聞かせてもらい、割と温まってきたので
ここで一つ思い切って聞いてみました

 

私「今から歩いて道後山駅まで行こうと思うんですけど、どう思います?」

駅長「ああーなるほどね、確かに行けますね」

 

以外と冷静な返答。そして

 

駅長「実際昔も自転車と機関車で勝負して、自転車の方が速かったこともあるらしいですしね」

 

いつの時代にも同じような事がする人がいるもんだ……

と言うかもしかして結構いるのでは?
と思って検索をかけてみたら普通に同じことしてる人が何人もいたね。ある意味定番コースだったね。

 

 

ただここで一つ気になった事が。

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昔からこのやり取りがあったという事は、この真ん中を突っ切る道も昔からあったという事。
一方で鉄路は現状7km弱なのですが、距離を考えると初めからこの道に並んで通せばよかったのでは?

 

駅長「そのルートは勾配がきつくて、特に蒸気機関車では難しかったんでしょうねえ」

 

なるほどですね。

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結果勾配を避けた迂回ルートが選定されたようですが、こっちはこっちで途中に深い谷が。
それに対し、当時の土木技術を結集して鉄橋が架けられた事も、話の続きで聞かせて頂きました。

昨年は西日本豪雨でこの辺りの路線も被害を受け、さすがに廃線も覚悟したようですが……
ここでもまた地元民からの熱心な要望があって、無事再開できたという事も語っておられましたね。

それを思うと『奥出雲おろち号』乗車時に沿線民から受けた歓迎も納得ですね。
皆さんおらが町の鉄路に誇りを持っていらっしゃいます。

 

 

さて。気づいたら話も尽きない感じになっていますが、このまま話し込むと本来の目的が大変なことになりますね?

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ここまでお話しいただいたボランティア駅長さんにお礼を伝え、いよいよ備後落合駅を出発しましょう。

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駅を出発してしばらく歩くと、国道同士の分岐が現れます。
国道183号はそのまま芸備線と並走するルート、そして国道314号がこれから歩く、山越えの短絡ルートですね。

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国道314号に入るとすぐに跨線橋で芸備線を超え、山に向かって進みます。
いささか不安ですが、道自体は2車線で立派なものです。

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道中はこんな感じ。法面の様子を見て頂ければ分かりますが、出だしから結構な勾配です。

 

 

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しばらく歩くとこんな看板が。
先ほどの地図で経由地に指定していました、高尾(こおお)の湯です。

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折からの通り雨がキツくなってきたので、立ち寄ってみる事に。

入り口には営業中の看板。入ってすぐに料金表はあったものの、特に番頭さんもおらず券売機も無く。
というか人の気配がしないんですけどこれは一体……?

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あ、なるほど全て理解した。セルフサービス方式ね。

500円を料金箱(?)に入れ、建物の中へ。

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階段を降りて、解放感抜群の脱衣所で服を脱いでいざ……

……自宅の浴室が一回り大きくなったような浴室やな。しかも風呂蓋つき。

入り口でのやり取りも無かったので、なんだか自宅の風呂に入っているような、
はたまた他人の家の風呂を勝手に借りているような不思議な気分なりましたね。

とかくここで都合よく雨をしのげたのはありがたかったです。

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ちょっと不思議な体験でしたが、泉質は立派な温泉。
皆さまもこのルートを通られる際には、ぜひ立ち寄ってもらいたいスポットです。

 

 

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風呂上り、行軍再開。相変わらずの上り勾配です。

汗を流してさっぱり、と言いたい所でしたが、先ほどの雨で湿度がほぼ100%。
残念ながらまたすぐに汗だくになってしまいました。

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立派な家なのに……自然に還ろうとしている……

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結局最後まで上り勾配。
傾斜もさることながら、こうも延々上り勾配だと確かに機関車では厳しかったかもしれませんね。

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ちなみにこの辺り(鍵掛峠)には先ほど別れた国道183号のパイパス道路が建設予定、だそうです。

 

 

この鍵掛峠で国道314号とはお別れ。道後山駅はこの下にあるので、脇道に逸れて下っていきます。

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先ほどのバイパス道路建設の影響か、脇道に逸れてからの道は最近付け変わっている様子でした。

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若干迷いながらも「↑道後山」と書かれた看板を発見。
まあ道後山駅は「←西城」の方向にあるんですけどね。

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とことで!目的地の道後山駅に到着しました。

歩いた時間は40分ちょっと。
終始上り勾配だったのは大変でしたが、距離が4km程度なのでそこまで厳しい道のりではなかった感じです。

あとこれを道後山駅スタートにすると、終始下り勾配になるんですよね。
それこそ自転車とかだと、同時スタートでも鉄路より速く到着出来る可能性がありそうですね……

 

 

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駅の手前には記念碑が。色々書いてありますが、要するに

「悲願達成」

ですね。道後山駅は今でいう所の請願駅としての開業だったようです。

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改めて道後山駅。駅舎は立派なもので、一部は地元消防団の倉庫に転用されています。

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待合室は完全に締め切る事が出来る立派なもの。
ホーム側のサッシをあけると、かつて使われていたであろう改札口の柵が見えてきます。

ホームは駅舎から一段上がった所にあります。

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そのホームからの光景。

ここでも鍵掛峠道路建設の影響か、向かいの道ではひっきりなしにダンプが往復しています。
かつては廃スキー場が見える物悲しい風景だったそうですが、景色の変化で幾分秘境駅感が減っていますね。

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標高611m。前回通った三井野原駅には至りませんが、この駅は芸備線内で一番高い所にあります。

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駅舎とホームの間にある植栽。
ローカル線の駅などでたまに見かけますけど、この風景が個人的に好きですね。

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ホームから改札口方向を。傍に何やら看板がありますが……

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味のある絵に隠し切れない国鉄の文字。歴史を感じさせますね。

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駅舎は基本的に消防団で利用されているらしく、倉庫の隣は待機所の様な部屋もありました。
ガラス越しですがよく見え……

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こっ、ここにも国鉄っ!!

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というかさっきスルーしてたけど、駅舎向かいの家にも国鉄の看板があったよね!?
もしかしたら歩いているうちに国鉄時代にタイムスリップしたのでは……?

 

『まもなく列車が参ります』

 

あはい。

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あ、良かったちゃんとJR型の車両が来たわ。

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新見行の列車が到着。この列車に乗って、私は道後山駅を後にしたのでした。

 

 

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とことで、備後落合駅→道後山駅徒歩移動からの道後山駅探索でした。
途中書いた通りで勾配はあるものの、距離もそれなりで道も基本的に迷わないので難易度は低めかな?

道中に温泉もありますし、この先秋めいてハイキングに最適の季節がやって来ます。
ここをご覧の方も、機会があるなら今回の行程は是非一度チャレンジしてみて欲しいですね。

私もいわゆる秘境駅の散策が出来ましたし、満足度の高い行軍でした。
他にもこういう場所をさがしてみますかね……

 

 

[参考リンク]
奥出雲おろち号【JR木次線トロッコ列車】 – 出雲の國・斐伊川サミット
高尾(こおお)の湯 – Google マップ

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