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2019年夏、奥出雲おろち号乗車記

[2019年夏、奥出雲おろち号乗車記]
なんと乗車記です。

どれくらいレアかっていうとこのサイトに『乗車記』のタグがないくらいレアです。
鉄道系サイトだったはずなんやが……

 

 

して、今回乗ったのは

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『奥出雲おろち号』です。

毎度のことながら突然舞い込んだお休みに旅程をねじ込みまして。
簡単に下調べはしていたのですが、実際乗ると個人的に思う事もあったので今回ここに残しておこうかと思います。

 

 

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週の真ん中水曜日。スタートは松江駅。
使う切符は18きっぷなので、まずは朝8時過ぎの普通列車で宍道駅に……

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乗れば良いものを、まさかの特急列車スタート。18きっぷ利用開始を焦らしていくスタイルですね。

 

 

……いや違うんす、今回泊まったホテルが快適すぎてつい出遅れたんです。

 

 

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宍道駅到着、ここで木次線に乗換えます。

まず乗るのはキハ120形の普通列車。『奥出雲おろち号』の始発駅である木次駅まで向かいます。
18きっぷもようやくここから使用開始ですね。

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キハ120形。登場してしばらくは国鉄型気動車を置き換えていく存在として私も疎ましく見ていたのですが

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今ではなんだかこれじゃないとローカル線に乗った気分にならなくなってきました。
不思議なものですけど、もう登場から30年近く経ちますからね。さすがに馴染んできますよね。

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先祖返りしてるヤツも居るし。

 

 

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30分ほどの乗車で木次駅に到着です。

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!?

なんかこんな駅名標どっかで見たぞ!?

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ええんか!?……まあ別にええんやろな。

 

 

お目当ての『奥出雲おろち号』は、到着時点では側線で待機しています。
そして今乗って来た列車の乗降が一段落したのち、ホームへ入線してきます。

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その前に撮影タイム?
ホーム手前で一旦停車してくれます。

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実際はさっき乗って来た列車がホーム後方に下がるのを待っていただけですけどね。

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入線して発車待ち。なお写真に写るスハフ13 801は運転台付きの変わり種です。
こちらの運転台で後方のDE15を制御し、備後落合へと向かいます。

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宍道行の対向列車を待ってから出発。ここから2時間半、トロッコ列車旅の始まりです。

 

 

その前に車内のご案内。

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列車は前から1号車、2号車の順で、一番後ろはディーゼル機関車のDE15です。
先ほど書いた通り、1号車の運転台でDE15を制御し、後から客車2両を押すという珍しい運転形態となっています。

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1号車はトロッコ車両。全席指定席です。

木製のボックス席がメインで、両車端の8席は外向きに設置されています。
座席を狙って取るならやはり車端の席でしょうか。

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1号車と2号車の間。

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1号車側には自販機と乗車記念スタンプが置いてあります。自販機には奥大山の天然水もあるよ。
あと車両の性質上、配管や機材がむき出しなのが萌えポイント。

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2号車。控え車という位置づけで、1号車の指定席券を持つ乗客が、その座席番号と同じ場所に座る事が出来ます。
雨の時や、風にあたって体が冷えた時なんかはこちらに乗る感じになりますね。

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控え車という事で窓と座席位置の配慮はありませんが、座席はまさかの簡易リクライニングシートです。
もはや骨とう品。雨とか関係なしにとりあえず座っておきたくなりますね。

 

 

それでは、改めて出発です。

ちなみにこの日の乗車率は8割程。
週の真ん中でもこの乗車率なので、週末の運行分は指定席券争奪戦になっているかも?

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2号車の簡易リクライニングも魅力的ですが、今回は素直にトロッコ車両に着席。
朝から暑い日でしたが、動き出すと風が入ってきて心地よいですね。

またこの区間はトンネルが多く

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その時の車内はこんな感じに。


車内中央部にはヤマタノオロチのイルミネーションが設置されています。
色も変わるよ!

 

 

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出雲八代駅。この区間の駅舎は昔ながらの木造駅舎が多く残っています。
これを窓越しではなく直で写真に収められるのも、トロッコ車両だからこそですね。

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亀嵩駅。ここでは停車中に名物のそばを使った弁当を購入する事が出来ます。

……となっているのですが、実際には要予約ですね。
この日は予約分だけで完売しておりました。

 

 

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11:15、出雲横田駅に到着。
余談ですが、『奥出雲おろち号』の設定が無い時は木次駅からこの駅までの定期普通列車が設定されています。

ですからこの時間の列車に乗ろうとした所

「何かトロッコ列車が来た!」

となる人も居るんでしょうね。てか今回実際に居た。

 

 

出雲横田駅から八川駅へ。
途中、沿線にある幼稚園では園児たちが全力で手を振ってくれます。

この列車に乗っていると、ここの園児たちだけでなく沿線の様々な方が手を振ってくれたのが印象的ですね。
普通に農作業の手を止めて手を振ってくれるんですよ。

我々が地元の方に受け入れられている気分になりますし

「木次線、良い所でしょ?」

と、木次線への思い入れも伝わってくる感じがして、グッとくるものがありました。

 

 

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八川駅。ここでも名物、八川そば弁当の立ち売りがされています。

が。やはり殆どが予約済みのお弁当。
またしてもお預けか……

「ご予約無くてもお買い求め頂ける分をご用意しておりまーす!」

マジか!これは朗報、とにかくカメラ置いて、財布用意して……

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はい。

予約無し分はものの10秒ほどで完売しておりました。
やはりここも亀嵩駅の駅弁同様、要予約と言うことですね。この件については良い勉強になったね。

 

 

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駅弁争奪戦に敗れた私、奥大山の天然水を肴に車内でのひと時を過ごしております。

正直言うとそこまで空腹でもなかったんですけど、2回連続で食いっぱぐれたとなると

「とりあえずなんか食べたい……」

と妙な気分になりました。まあそんなもんですよね。

 

 

そんな私に再び朗報です。

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次駅、出雲坂根駅が見えてきました。
この駅では隣接する売店で焼き鳥を販売しています。しかも注文してから用意してくれるので絶対食べられる!

停車時間も6分ありますし、ここは絶好の調達タイムです!!

 

が!!!

 

この駅では一つ問題がありまして。

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この出雲坂根駅は、木次線名物である三段スイッチバックの起点。

となると駅周辺の光景も写真に納めたくなりますよね。
でもそれを始めると途端に時間が足りなくなるんですよね!!

そしてこんな写真を撮っているという事は

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写真撮影に走っちゃったねえ……

スイッチバックなので、写真奥の先には線路がありません。
一度ここで折り返し、その後もジグザグに進みながら山間の厳しい勾配を登っていくことになります。

あと右上に赤い橋が見えてますが、これについてはまた後述。

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諦めの境地。折角だからいっぱい写真撮っておこうねえ。

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しかしあれだな、未だ結構売店に人いるな。今からどさくさに紛れて買いに行っても……?

 

 

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買えちゃった。

実の所、売店で並んでいる途中で案の定発車案内の自動放送が流れたんですけどね。
ただこの時点でも、私含め割と多くの方が焼き鳥列に並んでいたのですよ。

その状況を見た車掌さんから

「皆さんが買われてから出発するのでどうぞ買ってください!」

と誠にありがたいお言葉が。

結果無事に購入できた、と言う流れですね。
路線的に多少遅延しても大丈夫、ってのもあるんでしょうが、寛大な対応を頂きました。

 

なおこの日は待って頂けたんですけど、「発車します」と言われたときは大人しく戻りましょうね。
帰りの便だと、この駅で20分弱停車してくれるらしいので。

 

 

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出雲坂根駅を出発。ここではいったん進行方向が変わり、機関車側が先頭になります。
そしてスイッチバック区間へ。右側の線路に移り、登っていきます。

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しばらく登るとまた右側に線路が見えてきます。これが次に登る線路ですね。
列車の方はスノーシェッドに入ってすぐに停車します。

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停車後、再度進行方向が変わり客車側が先頭に。
先ほど来た線路を左に見て、どんどん上へ登ります。

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この辺で出雲坂根駅が見えます。見えるんです(焼き鳥食べてたら見逃した

 

 

ともあれ、これでスイッチバックを登り切りました。

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登り切った先で見えてくるのは、出雲坂根駅でもちょっと見えた赤い橋。
三井野大橋と言います。今はまだこの位置に見えますが……

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列車が走るうちに目線の高さになり

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遂にはこの高さまで登ってきました。

こうして見るとスイッチバック過ぎてからもかなりの勾配が続いていることが分かりますね。
確かに蒸気機関車時代だとこの区間は厳しそうだ……

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ちなみにこの三井野大橋は、この先に続く奥出雲おろちループ橋と共に、国道314号の名所となっています。

名所であり難所。この橋二つで、国道の急勾配区間を一気にパスしています。
木次線のスイッチバックもそうですけど、この区間の交通網には土木の叡智が詰まっていますね。

 

 

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急勾配の区間を超えて分水嶺に到達すると、三井野原駅に到着。
標高727mはJR西日本の中で最も高い所に位置します。

ここで3分の1ほどの乗客が下車。
先ほどの三井野大橋・奥出雲おろちループが近いので、見学をして復路の列車に乗るプランなんでしょうね。

 

 

私の方は終点まで行くのでこのまま乗車。

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油木駅を過ぎ、いよいよ終点の備後落合駅へと向かいます。
中国山地随一のターミナル駅へ向かうに連れて……

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どんどん自然があふれてきます。不思議だねえ。

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とか言ってたら突然の線路に一安心。芸備線が見えてきました。

 

 

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とことで

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終点、備後落合駅に到着です。

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ターミナル駅らしく線路がたくさんありますが、現在使われているのは3本のみ。
それぞれ木次線と、芸備線の上り下りで使用されています。

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『奥出雲おろち号』が停車するのも、他の木次線列車と同じく1番線。
そのまま駅舎に向かう事が出来ます。

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!?

今日2回目!!
てか合(アイ)までOKにしたら他の駅でもいけるようになるよね!土合駅とか!土Loveってか!!

 

 

適当な文章書くのもそこまでだ。

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駅舎の中には、木次線ゆかりの展示物などが所狭しと並んでいます。

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そしてその展示物について説明をされている人が。
元国鉄職員の方で、現在は備後落合駅のボランティア駅長をされているそうです。

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ボランティア駅長さんは地元の方という事で、備後落合駅やその周囲の歴史について興味深い話をして下さいます。
その話を聞いたり、またある人は駅周辺を散策したりと思い思いのひと時を過ごしておりますが……

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そろそろこの駅とお別れする時間がやってきました。

と言うのも『奥出雲おろち号』はこの駅で20分ばかしの休憩を取り、また木次駅へと戻る行程になっておりまして。
乗客の殆どはこの折返しに乗車し、木次、そして松江方面へと帰る形を取ります。

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名残惜しいですが折返しの便に乗車。


さよなら。

 

 

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……列車行っちゃったねえ。

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はい。私は居残り、芸備線乗換組でした。
同じ事を考えていたのは私の他にもう1組だけ。すっかり静かになってしまいましたね。

さておき、芸備線に乗換えますかね。
私はこの後新見方面へ向かいたいので、次の列車は……

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なるほどですねえ。

 

 

100分待ち。

いやこれ待てないことはないけど、なんかこう、良い時間の使い方を考えたいよね。
とりあえずは周辺の地図でも確認して見ますか。

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ん?
なるほど?

これ、次の列車が来るまでに行けそうですよね?

 

 

……行ってみましょうかね!?

とことで次回に続きます。思い立ったが運の尽き。

 

 

[参考リンク]
奥出雲おろち号【JR木次線トロッコ列車】 – 出雲の國・斐伊川サミット
無人の終着駅ご案内します 元機関士、JR備後落合駅の歴史伝える – 産経ニュース

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